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Q33 アパートとその建築に係る借入金
          を異なる相続人が承継した場合


Q 被相続人甲は生前、銀行借入金を原資としてアパート建物を建築しており、こ
  のアパート建物は、当該借入金の担保として提供されています。
  借入金を完済する前に相続が開始したので、共同相続人間で遺産分割につい
  て相談した結果、配偶者乙の生活資金を確保するためアパ−ト建物は配偶者
  乙が相続し、銀行借入金の残額(被相続人の債務)は資力のある長男Aが承
  継しようということになりました。
  このように、相続財産がその取得のためにした借入金の担保に供されている
  場合に、その借入金残額と担保に供されている財産を異なる相続人が承継す
  る形で遺産分割を行ったとしても、相続税の課税上の問題が生じることはない
  のでしょうか?
 
A 遺産中に積極財産と消極財産があり、その積極財産の中に、個別契約により
  消極財産(借入金債務)の担保として提供されている財産がある場合であって
  も、私法上は、これを分別し、異なる相続人がそれぞれ承継することは可能で
  す。
  したがって、私法上、このような形の財産債務の分別承継(遺産相続)が認めら
  れる場合には、相続税の課税関係も、基本的には、当事者が定めた分別承継
  の内容に従って整理されることとなります。
  なお、借入金に係る貸借当事者間の個別契約上、担保財産と債務者の分離を
  禁止する特約がある場合には、内部関係において担保財産と当該財産を担保
  とする借入金債務の分別承継を決めても、債権者に対抗できないことになりま  す。
  また、このような分け方をした場合、乙の不動産所得の金額の計算上、Aの負
  担している借入金の利息は必要経費と認められないため注意が必要です。


Q34 未成年者である子供の親権者が
          共同相続人ではない場合の遺産分割協議


Q 被相続人甲の相続関係は以下のとおりです。



  被相続人甲には、妻乙との間にABの子供が二人(いずれも成年者)おり、妻
  以外の女性丙との間にも未成年者である子供Cがおり生前に認知しています。
  甲の死亡に係る相続に関し、相続人である妻乙とABCの子供3人で遺産を協
  議分割し、その分割に基づいて相続税の申告をすることになりました。
  この場合、相続税申告書に添付する遺産分割協議書には、丙が未成年者であ
  る子Cの法定代理人となることで、特に家庭裁判所で特別代理人の選任を受
  けなくてもよいと考えていますがどうでしょうか?

A 丙の親権に服する子が1人の場合には、質問のとおりで差し支えないです。
  ただし、未成年者が2人以上いる場合には、そのうちの1人について親権者が
  法定代理人となり、他の未成年者については、それぞれ家庭裁判所における
  特別代理人の選任を必要とします。

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