Q39 親族からの借入金(個人事業の運転資金)の債務控除
Q 被相続人甲は、個人で事業(青色申告者)を営んでおり、生前、運転資金500
万円を相続人Aから借りていました。
しかし、この金銭の貸借にあたっては金銭消費貸借契約書を作成しておらず、
返済期限、利率、担保といった金銭消費貸借で約束されることもはっきりしてい
ません。決算書や帳簿では、「事業主借入」として処理されています。
甲が死亡し、甲の営んでいた個人事業は相続人Aが単独で承継することになり
ましたが、その相続税の計算上、Aからの借入金は債務控除の対象とできるの
でしょうか?
A 親族間の金銭の貸借は、原則として贈与と認定され、贈与税の課税対象となり
ます。
ただし、親族間で行われている金銭の貸借だからといって、金銭の消費貸借契
約そのものを否定するのには無理があるので、その金銭の貸借の内容につい
て、金銭消費貸借に当たるのか、それとも金銭消費貸借とは名前だけなのか、
実態について判定する必要があります。
したがって、客観的に金銭消費貸借である事実が明らかな場合には、贈与税
の課税関係が生じることはなく、将来、相続が開始したとき、その借入金に残
額があれば、債務控除の対象となります。
Q40 連帯保証人の保証債務の債務控除
Q 被相続人甲は、友人Aの連帯保証人として借入金債務の保証を契約していま
したが、Aは破産してしまい返済は不可能となってしまったため、甲は銀行から
連帯保証人としての保証債務の履行を催告されていました。
甲の相続人乙は相続の単純承認を行ったため、甲の債務保証を承継して弁済
を余儀なくされることは確実で、一方、Aに対する求償権の行使は不可能と考え
ています。
甲が遺した本件保証債務の額は、債務として控除ができるのでしょうか?
A 連帯保証人は、主たる債務者が弁済不能の場合に代位して弁済する義務を負
う立場であることから、連帯保証人になっている場合においても、原則として相
続税の債務控除の対象とはなりません。
ただし、主たる債務者であるAが弁済不能の状態にあるため、保証債務者がそ
の債務を履行しなければならない状況にあり、Aに求償して返還を受けることが
できない事実がある場合には、主たる債務者が弁済不能の部分の金額は、連
帯保証人の債務として債務控除をすることができます。
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