Q13 保険金の課税関係(相続放棄した者が受け取った場合)
Q 今年10月に父が死亡しました。父の子であるAは正式に相続を放棄しました
が、父が保険料を負担していた生命保険の保険金受取人となっていたため、A
が2,000万円の生命保険金を受け取りました。
この場合、500万円の保険金非課税の適用があるのでしょうか?
A 保険金非課税の適用はなく、Aが受け取った2,000万円について課税される
こととなります。
相続を放棄した者が受け取った生命保険金は、遺贈によって取得したものとみ
なされるので、Aには生命保険金の非課税の適用はないことになります。保険
金非課税の適用があるのは相続人(相続を放棄した者及び相続権を失った者
を含まない)に限られます。
Q14 保険金の課税関係(保険金受取人が死亡している場合)
Q 被相続人甲は、自身を被保険者及び保険料負担者、保険金受取人を甲の母
とする生命保険に加入しておりましたが、甲の母が先に死亡し、受取人の変更
がなされないまま甲も死亡しました。
約款では受取人死亡の場合の受取人はその相続人となっていたことから、甲
の父Aは、甲の兄弟である弟Bにこの生命保険金を相続させるために、甲の死
亡後3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述手続をして適法な相続放棄を
しました。
T 弟Bは、この生命保険金の相続人となりますか?また、その場合にかかる
相続税は2割加算の適用がありますか?
U 父Aは他の甲の生命保険金の受取人となっていますが、相続放棄をしたこ
とにより分割協議にも加われず、また1人500万円の保険金控除の適用も
ないのですか?
A まず始めに保険金受取人が誰かを確定させることが必要です。
本件の保険約款で、被保険者死亡時に母が既に死亡しているときにその保険
金受取人は母の相続人となると定めてあるため、当然そのようになります。
本件では、保険金受取人は、母の相続人である父Aと甲の弟Bと甲の相続人で
ある父Aとなり(父Aは重複)、結局父Aと弟Bの、2人が保険金を2等分で取得
することになります。なお、保険金は遺産ではないので、相続人(弟B)で遺産分
割の対象にすることはできません。
父Aが甲からの相続につき相続放棄をしても、母の相続人であることには変わ
りないため意図した効果はなく、かえって受領保険金について相続税の非課税
部分はないことにもなります(相続放棄のために、取得保険金はみなし遺贈財
産となる)。
反面、弟Bは、父Aの相続放棄によって甲の相続人となりますから、取得保険
金はみなし相続財産となり、相続税の非課税部分があります。
また、相続税の2割加算は、一親等の血族又は配偶者以外の者が財産取得
者である場合に適用されるものあり、父Aではなく、弟Bに適用されます。
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